シンクに油を流してしまった!浄化槽に油を流してはいけない理由と対処法
キッチンや簡易キッチンで調理が終わると、つい油を流してしまうことがあります。
しかし、油を排水溝に流すことは環境に有害であり、浄化槽などの排水設備にダメージを与える可能性もあるため、絶対に避けなければなりません。
この記事では、使用済み油の適切な処理方法と、誤って油を流してしまった場合の対処法について説明します。
また、なぜ油を流してはいけないのか、どのような危険があるのかについても詳しく説明しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
油を流してしまった場合の問題とその理由
浄化槽に使い終わった油を排水することは避けるべきです。その理由について詳しく説明します。
微生物は油の分解が苦手
浄化槽の中に棲んでいる微生物は、油の分解が苦手です。
浄化槽は微生物の働きを利用して、生活排水を分解・浄水し、用水路や川に放流する、いわば家庭の浄水場です。
排水口から廃油を流してしまうと、通常より多くの酸素が必要となり、例えば油27ccを排水口から流すことは、人が1日に流す汚水に相当します。
浄化槽を利用している家庭では、廃油を排水口から流すことを避けるだけでなく、食器や鍋についた油もキッチンペーパーなどで拭き取ってから洗うようにすると、油のせいで浄化槽に起こるトラブルを防ぐことに繋がります。
浄化槽や排水口の詰まりの原因となる
油は排水設備のどの部分に流しても、最終的には詰まりの原因となり、排水がスムーズに行われず、詰まりが発生しやすくなります。
油は冷えると固まるため、排水口から油を流すと、排水管内にへばりつき、食べ物のカスなどが付着し、排水管を詰まらせます。
浄化槽内に油が流れ込んだ場合、油は水より軽いため、最初の槽の上方で塊となって浮いてしまった油は、その殆どが分解されません。
その先に流れていった油も、そのうち詰まりを引き起こし、処理した汚水を移送できなかったり、水位があがったりして、満水状態になる恐れがあり、故障の原因にもなりかねません。
そのような中で浄化された排水は、汚れたまま河川や用水路に放流されてしまいます。
『ほんの少し』で積み重ねられた油も、大量に流す油も、どこに流してももれなく詰まりの原因となるため、注意する必要があります。
油処理剤を混ぜても浄化槽には流さない
廃油に混ぜて排水口に流すタイプの油処理剤がありますが、浄化槽に対しては使用を避けてください。
油と混ぜることで『乳化する』や『洗剤になる』というものですが、浄化槽に流し込んだ場合、浄化槽の中で再び水と油に分離するため、直接大量の油を流しこんだことになります。
油は上述のように冷えて固まるほか、浄化槽内のろ床やパイプ類に付着すると機能低下の原因となります。
微生物の棲みやすい環境を維持するためにも、排水口に流す前から『流すものをなるべく汚さない』ということを考えましょう。
環境への悪影響
油を排水口から流すことは、環境汚染の一因となります。家庭で使われる油は動植物性のものです。
この油は微生物による分解が遅く、河川や海に流れ込んだ場合、完全に分解されずに残ります。
残った油が酸化し、水中の酵素を取り込んで生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、時間が経つと油は浮遊物となり、悪臭の原因にもなります。
悪臭の発生
油を排水口に流すと、固まった油の周りに付着した食べ物のカスが腐敗し、悪臭を発生させます。
浄化槽の機能が低下しても、悪臭の原因となります。
キッチンを清潔に保っていても、排水口からの悪臭が広がると料理をする気分にならず、浄化槽からの悪臭は近所に迷惑をかけることになります。
使用済みオイルの適切な処理方法
使用済み油の処理方法としては、以下の方法が適切です。自分にとって簡単な方法を見つけましょう。
油を固めて捨てる
油の温度が下がっていることを確認し、キッチンペーパーや新聞紙に油を吸い取ります。
固まった油は可燃ごみとして処理できます。ただし、熱い油をそのまま吸い込むと自然発火の恐れがありますので、冷ましてから捨てましょう。
牛乳パックに注いで処分
牛乳パックに使用済み油を入れる方法もあります。牛乳パックに新聞紙やキッチンペーパーを詰めて、そこに油を注ぎ入れます。
新聞紙で直接油を吸い取るよりも、手を汚さずに油を捨てることができます。同様に、処分する前に油を冷まし、自然発火に注意しましょう。
市販の凝固剤を使う
油用の凝固剤を使って油を固める方法もあります。これはドラッグストアなどで市販されています。熱い油に凝固剤を混ぜて固め、可燃ごみとして処分します。
油を吸い取らせたりなどの手間を省きたい方や、多量の油を捨てる際にはおすすめの方法です。
排水口・排水管の油汚れ解消方法
シンクを日常的に使っていると、どうしても排水口や浄化槽に油が溜まってしまうことがあります。
浄化槽に油を流さないようにするには、まず排水口に油を流さないことです。
排水口の流れが悪くなったと感じたら、以下の方法で解消しましょう。
ワイヤーブラシやペットボトルの使用
排水口や排水管が詰まったときに役立つ道具として、ワイヤーブラシやペットボトルが活用できます。
ワイヤーブラシは先端に金属や化繊のブラシが付いたもので、固まった油などの汚れを擦り取ることでつまりを取り除きます。
ただし、ワイヤーブラシの届く範囲には限りがあり、排水管を傷つけてしまう可能性もあるので注意が必要です。
ペットボトルは、排水口を覆って空気を送り込むことで詰まりを解消する方法です。
遠くまで効果的に詰まりを除去できますが、頑固な油汚れには効果が薄いという欠点があります。また、トイレで使われているラバーカップを使う方法もあります。
専門の業者に依頼する
これらの方法でも効果がない場合や浄化槽の状態がひどい場合は、専門の業者に相談することをお勧めします。
浄化槽の保守・修理業者には、問題解決のための専門知識と適切な道具があります。
浄化槽は環境負荷低減のための重要な設備ですので、適切に管理・維持することが大切です。
パイプクリーナーを使う
パイプクリーナーは排水口や手の届く範囲の排水管の一般的で効果的な清掃方法です。スーパーやホームセンター、最近ではコンビニエンスストアでも購入でき、価格も手ごろなのでおすすめです。
パイプクリーナーには、液体タイプと固形・粉末タイプとがあります。それぞれにメリット・デメリットがあります。
液体パイプクリーナーはアルカリ性の洗剤を使って油を分解する方法です。液体タイプは水酸化ナトリウムの濃度に注意が必要です。
水酸化ナトリウム濃度が1%以上の製品を選びましょう。水酸化ナトリウムには油を浮かせる効果があります。ただし、使用する際は皮膚にかからないように注意しましょう。
固形タイプや粉末タイプは水に溶けて洗浄液になる特徴があります。粉末を溶かすには水が必要ですが、水と反応して発泡するため、排水管の全周に届きやすくなっています。
浄化槽に影響を与えない洗剤や、排水口の洗浄に便利な商品をお探しの方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:浄化槽に使える洗剤と使えない洗剤とは?バイオを強化する方法を解説
関連記事:排水溝の油を溶かすにはどうしたらいい?効果的な対策と注意点を解説
再利用可能な揚げ油の処理・保管方法
揚げ物に使用した油は、適切な処理・保管方法を行えば再利用が可能です。以下、油の正しい使い方と、油の保存方法について説明します。
油の正しい使い方
一般的に、揚げ油の再利用回数は3~4回が目安です。ただし、具体的な回数は油の汚れ具合によります。
揚げ物用の油であれば再利用できますが、野菜などを揚げる揚げ油の場合は、1回の使用でかなり汚れてしまいます。
揚げ油の保存方法と保存期間
使い終わった揚げ油は、保管中に油の酸化を遅らせることが大切です。オイルポットや蓋つきの瓶など、適切な容器に入れて保存します。
以下に保存方法と保存期間の目安を示します。
オイルポットを使った保存方法
揚げた後、油が熱いうちに油カスをすくいます。油が冷めたら、市販のオイルポットに使用済みの油を入れ、空気に触れないようにフタをしっかり閉めます。オイルポットは冷暗所に保管してください。
蓋つきの瓶での保存
オイルポットの代わりに、瓶を用意します。瓶の口をまずキッチンペーパーで覆い、輪ゴムで止めるだけで、油濾しとして代用できます。
油が少し冷めたら、網スコップで油のカスを取り除き、瓶に油を注ぎます。全量注いだら蓋をしっかり閉め、冷暗所に保管します。
ただし、油の状態、におい、変色などをよく確認し、異常があれば捨てるようにしましょう。保存期間を過ぎた油は品質が低下し、風味や健康に影響を及ぼす恐れがあります。
再利用可能な揚げ油の加工・保管には、適切な衛生管理と注意が必要です。腐敗した油や品質の劣化した油は、健康被害を拡大させる可能性がありますので、十分にご注意ください。
まとめ
浄化槽に油を流さないためには、シンクの排水口を日頃からきれいに使い、油汚れやつまりを最小限に抑えることが大切です。
排水口のゴミ受けにネットをかぶせて、生ゴミやゴミが排水口に流れないようにするのも効果的な方法です。詰まりや嫌な臭いを防ぎ、毎日の掃除が便利になります。
とはいえ、油を流してしまった時は、今回の記事で紹介した方法で対処してみましょう。
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これらの対策を行うことで、家の排水溝に潜む悪臭の原因を取り除き、清潔な台所環境を維持することができます。