浄化槽の放流ポンプの寿命は?起こる症状や交換時の注意点などを紹介
浄化槽の放流ポンプは浄化槽本体よりも寿命が短く、急に故障したり停止したりするとしばらく水まわりを使うことができなくなってしまいます。
放流ポンプの寿命をしっかり把握しておけば交換の計画が立てやすくなり、困った事態を避けられます。
この記事では、浄化槽で処理された水を汲み上げる放流ポンプの寿命や交換時期、寿命による交換の流れなどについて紹介します。
「うちの放流ポンプ、何年目だったかな?」と思っていた人は、ぜひ最後まで読んで確認してみてください。
目次
浄化槽の放流ポンプの寿命は7~10年
浄化槽の放流ポンプの寿命は、さまざまな要因によって違いはありますが、一般的に7~10年といわれています。
ここでは、放流ポンプの寿命に関わる役割や使用環境、メンテナンスについて紹介します。
浄化槽の放流ポンプの役割
通常の浄化槽は自然な勾配によって処理水が放流される仕組みになっていますが、間取りや敷地面積など、建物の都合によってその勾配がとれない場合に放流ポンプを設置します。
地下室や半地下がある戸建てなどにも設置されていますが、普段目にすることはほとんどないため、異常の発見が遅れるケースが少なくありません。
浄化槽の「放流ポンプ」は、じつはさまざまな名前で呼ばれています。
- 放流ポンプ
- 汚水ポンプ
- 排水ポンプ
- 汲み上げポンプ
- 水中ポンプ
「水中ポンプ」という名前もあるところからも分かりますが、水中にずっと沈んだままでその役割にあたるため乾燥することはなく、陸上で使うポンプに比べると寿命は短めです。
放流ポンプにはフロートスイッチと呼ばれる「浮き」が取り付けられていて、水位と共に浮きが上がると、汲み上げて放流するためにスイッチが入る仕組みになっています。
フロートスイッチにより電源のオンとオフを自動で切り換えながら水中で働き続ける重要な設備ですが、通常は目視することはほとんどありません。
※「エアーポンプ」「浄化槽ポンプ」と呼ばれるものは「ブロア」です。
→浄化槽ブロアの故障をそのままにしてはいけない理由とは?対処法を紹介
浄化槽の放流ポンプの寿命は使用環境で変わる
浄化槽の放流ポンプの寿命は使用する環境や排水量・排水する水の性質によって、7~10年よりも短くなる場合があります。
例えば、浄化しきれない泥水や異物などが混入している処理水を頻繁に流したり、一般的ではない排水量で稼働させたりするなど、過酷な使用環境が原因となる場合です。
また放流ポンプの寿命だけでなく、配線の劣化も視野に入れる必要があります。
長期使用による絶縁不良の発生の恐れもあるため「抵抗値測定」を行うのも交換時期の判断基準となります。
寿命が近くなれば故障もしやすくなりますが、逆に排水量が低下しながらも寿命以上に稼働する放流ポンプもあるため、状態を定期的にチェックする必要があります。
保守点検は浄化槽管理士が行う
浄化槽の放流ポンプの点検は、浄化槽と同様、浄化槽管理士か登録業者が保守点検時に行うことになっています。
浄化槽の維持管理責任者は一般家庭では世帯主にあたり、点検や修理など、知識や技術があれば自分で行うことも可能です。
しかし「保守点検」は国で定めた基準に従う必要があり、年に一回受けなければならない法定検査に必要な「保守点検実施記録票」は保守点検業者でなければ発行できません。
浄化槽法では、一般家庭で広く使用されている合併処理浄化槽(20人以下が使用対象)の場合、保守点検は4ヶ月に1回とされています。
定期的に保守点検を受けていれば、放流ポンプが急に寿命を迎えて水まわりが使用不可になるアクシデントを防げます。
→浄化槽の点検回数は何回?点検と検査の違いは?正しい頻度で浄化槽を大切に
浄化槽の放流ポンプの故障原因
浄化槽の放流ポンプは以下のような故障で停止してしまいます。そのなかには、寿命が近いゆえに見られる故障もあります。
- 水中ケーブルを噛み込む
- 吸い込み口に異物が詰まる
- 経年劣化によるサビ
- 羽根車の摩耗・故障
- 漏電
- フロートスイッチの故障
1と2に関しては使用年数に関係はありませんが、それ以外は寿命が近くなることで起こります。
6のフロートスイッチに関しては寿命が5~7年と放流ポンプよりも短いため、この部分のみの交換が必要です。
放流ポンプが停止すると排水ができなくなり、水まわりの使用はおろか自分ではとても対応できない事態となるため、故障する前に交換することが重要です。
- 浄化槽を使用していて、地下室や半地下・地下駐車場がある
- 排水ポンプ辺りから異音がする・振動がある
- 悪臭がする
- 10年以上、放流ポンプのメンテナンスや点検をしていない
- ブレーカーが時々落ちるが原因が分からない
以上のような場合は放置せず、業者に相談しましょう。
浄化槽の放流ポンプが故障・停止するとどうなる?
放流ポンプが故障・停止するとどのような事態になるのかを紹介します。
経年使用した放流ポンプによって引き起こされる以下のような事態を避けるため、参考にしてください。
汚水が溢れる
排水ができなくなるため浄化槽内や排水管に水が溜まり、家のなかの水が流れづらくなります。そのうち汚水があふれたり逆流したりすることもあります。
下水管の詰まりに症状が似ていますが、複数個所が同時に排水しない場合は放流ポンプの故障・停止が原因かもしれないため、確認が必要です。
半地下の駐車スペースなどの水はけが悪い
地下や半地下に部屋や駐車場がある場合、放流ポンプが停止すると水はけが悪くなる場合があります。
他の階でも排水不良があるなど、複数個所の状況を確認したうえで、まずは保守点検を依頼している業者に連絡しましょう。
ブレーカーが突然落ちる
放流ポンプや水中のケーブルの劣化が原因で漏電を起こすと、突然家のブレーカーが落ちる場合があります。
夜中などに急にそのような事態になると、放流ポンプが原因と思わないため電力会社に連絡をするなど、他方面を巻き込む事態になりかねません。
急に電源が落ちると困る電化製品があることを考えると、思わぬ被害にあう前のメンテナンス・交換は重要です。
放流ポンプが作動しっぱなしになる
寿命による故障は停止だけとは限らず、放流ポンプが作動したまま止まらない場合があります。
放流ポンプは一般的に必要なタイミングで稼働し必要がなければ止まる仕組みですが、寿命による故障で作動しっぱなしになると、大きく電気代がかかってしまいます。
排水ができているため発見が遅れてしまうため、いつもより電気代が高いことに気付いた場合にはメンテナンスを考えましょう。
浄化槽の放流ポンプ交換の流れ
浄化槽の放流ポンプを交換する際は、浄化槽内の清掃や点検・整備も同時に行います。
放流ポンプ交換時の流れは以下です。
- 状況確認
- 見積り・説明
- 配管の切断・放流ポンプの撤去
- 新しいポンプの接続・配管
- 電気配線・試運転
- 作業完了
放流ポンプ交換にかかる作業時間は約1~3時間程です。
しかし状況確認によって故障の原因や使用していたポンプの性能が現状に合っていたかなどを詳しく調べ、見積りが見合っているかなどの説明を含めると、1日はみたほうがいいでしょう。
もちろんその間、排水は使用できません。
浄化槽の放流ポンプ交換の注意点
浄化槽の放流ポンプを交換する際の注意点を紹介します。
放流ポンプの交換は何度もあることではありませんが、メンテナンスの際のポイントとして参考にしてください。
修理より交換のほうが安い場合がある
寿命に差し掛かるほど長く使用している場合、修理してもまたすぐ停止する可能性があるため、交換したほうが安くなると考えるのが妥当です。
放流ポンプの交換にはさまざまな費用が含まれます。
- ポンプ本体費用(台数・性能によって変わる)……~5万円
- 諸経費……50,000円~
諸経費には以下が含まれます。
- 排水できる水深による費用
- ポンプ撤去・交換費用
- 処分費用
- 消耗材
- 交通費
以上は大まかな金額のため、もっとかかる場合もあれば、交渉次第で減額してくれる可能性もないとはいえません。
見積りの際には、紹介した金額を理解した上で納得いくよう確認・交渉しましょう。
2台での稼働が安心
2台の放流ポンプを交互に使用するシステムを利用することで、寿命を少しでも長くすることが可能です。
浄化槽の放流ポンプは2台1組での稼働が原則とされていますが、一般家庭においては1台で済む場合もあります。
しかし2台を稼働した場合、1台が故障により停止してももう1台が稼働できるため、急に排水ができなくなることは避けられます。
その場合は残された1台が連続稼働することで負荷がかかるため、早めの対応が必要です。
まとめ
浄化槽の放流ポンプは不調の発見が遅れがちになりますが、浄化槽の定期点検を怠らなければ、故障の前兆も交換時も見逃さずに済むでしょう。
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