浄化槽ブロアの故障をそのままにしてはいけない理由とは?対処法を紹介
浄化槽ブロアは、浄化槽を正常に機能させるために欠かせない設備です。
下水道の通っていない地域に済む家庭では、浄化槽によって生活排水やし尿などを浄化してから河川へ流しています。
浄化槽ブロアが故障した場合、修理せずにそのまま放置していると、汚水処理能力の低下や悪臭がするといった大変な問題を引き起こしてしまいます。
この記事では、浄化槽ブロアの役割や仕組みを踏まえながら、故障のサインや症状と対処法を紹介します。
浄化槽を利用している人はぜひ参考にしてください。
目次
浄化槽ブロアとは
浄化槽ブロア(ブロアー、またはブロワー)は、浄化槽のなかへ空気を送り込む設備です。
浄化槽ブロアについての役割や仕組み、故障したときのサインなどを紹介します。
ブロアを大切に使用するための参考にしてください。
浄化槽ブロアの役割
浄化槽ブロアには、以下の2つの役割があります。
- 浄化槽内の微生物に生きるための酸素を送り込む
- 浄化槽内の水に流れを与えて微生物の元へ汚水を運ぶ
微生物に絶えず空気を送り込み活性化させながら、汚水処理の段階をしっかりと踏むためには、ブロアが送る空気は必要不可欠です。
→浄化槽の排水の仕組みとは?使用上の義務や上手な使い方を詳しく解説
浄化槽ブロアの故障を放置するとどうなる?
浄化槽ブロアの故障を放置すると、悪臭が発生します。
故障によって空気が送られなくなり微生物が死んでしまうため、汚水処理機能が低下することが原因です。
浄化槽ブロアが停止しても、1~2日程度であれば溶存酸素(水中に溶けている酸素)があるため、その間に対処すれば間に合います。
これから紹介する対処法で解決できない場合は、速やかに業者に相談し、なるべく早い段階でブロアの作動を復旧させて、微生物を守らなければいけません。
浄化槽ブロアが支える浄化槽の仕組み
浄化槽ブロアは浄化槽内に空気を送り込み、微生物に酸素を届けると同時に水流も作り出します。
浄化槽の内部は、ろ材によってろ過された汚れを分解する微生物がいる槽と、微生物が繁殖しながら分解する槽に分かれています。
そして汚水はブロアが作りだす水流によって槽内を移動しながら浄化のプロセスを踏みます。
分解を終えた汚泥を溜めておく槽に移動させたり、繁殖しすぎた微生物を接触材から剥離したりするための水流も、ブロアから作り出されます。
そして最終的には、浄化した水を外界の河川へと送り出します。
浄化槽ブロアの故障のサイン
浄化槽ブロアが故障したとき、以下のようなサインがあります。
- 臭いが気になる
- ブロアから異音がする
- ブロアが熱くなっている
このような症状に気づいたら、修理やメンテナンスなどが必要です。
自分で対応してみても症状が改善しない場合や、確認がむずかしい場合は業者に連絡し、早めに対応する必要があります。
浄化槽ブロアの故障の症状と対処法
浄化槽ブロアが故障した場合に見られる症状と、その対処法について紹介します。
「最近なにか違和感がある……」と思っている人は、ここで探してみてください。
作動していない
ブロアが作動している様子がない場合、以下を確認します。
- コンセントが抜けていないか
- 停電していないか
- 電源コードが断線していないか
なんらかの原因で電圧が下がり起動不良を起こしている場合もあります。上記を確認しても作動しない場合は業者に相談してみましょう。
大きな音がする
ブロアから大きな音がする場合、以下を確認してみましょう。
- 何かが引っかかったり当たったりしていないか
- 空気が漏れていないか
ブロアが建物と近すぎたり、何かに接触したりしていたら、位置を調整してみましょう。
フィルターカバー・ケース、電源コードなどがしっかり取り付けられていない場合にも、引っかかって大きな音が出ている場合があります。一度外して付け直してみるといいかもしれません。
空気が漏れている場合は、ボルトの締め直しを行ってみるか、配管や吐出ホースに異常がないかを見てみます。
「ブロアって外に置いてるから、カバーが必要かも」と思い、販売されているカバーをかけている場合もあるかと思いますが、基本的にブロアにカバーはなくても大丈夫なため、環境的にどうしてもひっかかるなどの場合は取ってしまいましょう。
異音がする
異常な音がブロアから聞こえてくる場合、(ブロアが高温になっている場合があるため)軍手をした手でブロアを抑えてみましょう。
音が止むようなら振動が原因のため、ゴム製の防振マットを敷いてみます。
手で押さえても音が鳴る場合は、内部の故障かもしれないため、業者に相談が必要です。
臭いが気になる
浄化槽からくる悪臭が気になる場合は、送られる空気の量『吐出空気量』が足りていないのが理由です。
『空気量』や『送風量』とも呼ばれます。
この場合は以下を確認してみます。
- 配管や散気管が目詰まりを起こしていないか
- 空気が漏れていないか
- ゴム弁の破損
- ピストンの寿命
目詰まりなどは掃除をしてみる程度ですが、他は専門的になってくるため、素人が確認するのはむずかしいかもしれません。
部品を交換する場合も適正なものを選ぶ必要があるため、業者に相談するのが確実です。
ブロアが熱くなっている
浄化槽ブロアは常時稼働しているため、高い熱をもつことがありますが、大体は50℃以下です。
それ以上の高い熱を持っている場合は、以下のような不具合や故障の可能性があります。
- フィルターエレメントや吸入口が目詰まりしている
- ブロアに箱やビニールなどが被さっている
- 配管内のバルブのズレ
- 部品の寿命
- 接続ホースの状態が悪い
掃除や風通しを改善すれば済む不具合もあれば、専門知識で対応してもらったほうが安心な故障寸前の症状もあります。
ブロアをなるべく大切に使用していきたいのであれば、こういった心配のあるタイミングでプロに任せることで、そのあとの使い方にもいい影響があるでしょう。
浄化槽ブロアの寿命とメンテナンス
浄化槽ブロアを少しでも長持ちさせるためにできることはあるのでしょうか?
浄化槽ブロアの交換時期や、なるべく長く使う為にできるメンテナンスについて紹介します。
浄化槽ブロアの寿命
浄化槽ブロアの耐用年数は5~10年といわれています。
浄化槽の寿命が20~30年といわれているのに比べると半分以下といってもいいくらい短いため、こまめに交換しなければならないイメージです。
ブロアは浄化槽の心臓部ともいえる設備のため、次に紹介するメンテナンスを実施して、せめて寿命を早めないように、大切に使いましょう。
浄化槽ブロアのメンテナンス
浄化槽ブロアは、掃除程度ではありますが自分でできるメンテナンスがあります。
ブロアにはネジ式とはめこみ式の2種類があり、違いはフィルターの取り付け部分の蓋が、ネジでついているか、カパッと外せるはめ込み式かのどちらかです。
外し方や構造が少し違うだけで、蓋を取って掃除をするのと、外したフィルターを洗う手順はほぼ違いはありません。
そしてこのフィルターが目詰まりなどを起こしたまま、ブロアに余計な負担をかけながら作動し続けると、故障の原因になります。
掃除をしていると異常にも気づきやすくなり、修理も早い段階で済ませることができるため、ブロアのメンテナンスはおすすめです。
定期的な保守点検・法定検査が必要
浄化槽には保守点検の実施が浄化槽法および環境省令で定められていて、そのなかにブロアの点検も含まれています。
保守点検は年に3~4回、清掃も年に1回以上と義務付けられています。
法定検査では保守点検の結果の記録が必要で、法定検査は清掃後の水を張った状態でなければ行うことができないため、どれか一つの条件をクリアしておけば済むものではありません。
保守点検のブロアの点検では、以下について確認し、必要があれば調整もします。
- 異音がしないか
- 風量確認
- 振動の発生状況
- フィルターの掃除
- 正常に作動しているか
これらは浄化槽管理士の国家資格をもつものが行う点検のため、一般の人が自分で行うことはできません。
こういったプロの目で公的に検査を受ける義務があるため、その頻度を守っていればブロアの状態もある程度維持できるようになっています。
→浄化槽の点検回数は何回?点検と検査の違いは?正しい頻度で浄化槽を大切に
まとめ
浄化槽ブロアの故障を改善せず放置してはいけない理由や、故障の際の症状や対処法などを紹介しました。
浄化槽ブロアの故障で一番困る悪臭においては、自分の家のなかが臭うならまだしも、ご近所に迷惑をかける羽目になりかねません。
そして浄化槽ブロアがきちんと作動していても臭いが気になる場合もあります。
そのようなときは株式会社スリーケーの『浄化槽汲み取りトイレ消臭剤』がおすすめです。
清掃直後に投入するだけで消臭効果を発揮し、約1ヶ月間、効果を発揮します。また、浄化槽内の微生物の活性効果も見込めます。
浄化槽の維持管理業者様にもご利用いただいている製品ですので、ぜひご検討ください。
日常生活を送るために必要な浄化槽は、故障を放置せず大切に使いましょう。
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