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ゴキブリやコバエの侵入経路は排水口や排水管?その原因と対処法も紹介

夏になると特に気になってしまう、ゴキブリやコバエの発生。そういった害虫は、一体どこから家の中に入ってくるのか?

一度や二度、気になったことがある方も多いのではないでしょうか。私は毎年、気になっています。私の一人暮らしを脅かす彼ら(彼女ら?)の侵入経路はどこにあるのでしょうか。

その候補の一つとして、排水管が挙げられるかと思います。しかし、排水口には水が張ってあります。果たしてそんなところを上がってくることは可能なのでしょうか?というわけで、害虫の排水口からの侵入というところにフォーカスしてみたいと思います。

さっそく結論をお話すると、コバエは排水管からの侵入はほとんど無いですが、ゴキブリは侵入してきます

私達を守っているのは5㎝の水である

排水口には、臭いの逆流や害虫の侵入などを防ぐために、封水と呼ばれる水が溜まっています。建築基準法によると、この封水の深さ(封水深)は5~10㎝と決められています。

上記のいわゆる、わん型トラップと呼ばれる、排水管の封水トラップの他にも、SトラップやPトラップと呼ばれるものもあります。

いずれにしても、封水深は5~10㎝です。ということは、害虫がこの5㎝(~10㎝)の水を超えれるかどうかというところにかかっているわけです。

わんトラップを使ったある実験では、コバエの侵入はなかったようですが、30~40%のゴキブリの侵入は見られたという実験結果もあります。実験なので、トラップを模した装置はきれいな状態です。これが家庭のようなヌメリなどで汚れた排水管であれば、侵入の確率はさらに上がると考えられます。

こういったことから、排水口のトラップの水だけでは完璧には防ぎきれないことがわかります。ただし、侵入の確率を下げるという意味では、やはり封水というものは大切だということです。

そもそも封水(排水トラップの水)はちゃんと張っているのか?

そもそも、封水がちゃんと張ってあるかどうかをこまめに気にしている人はいるのでしょうか?私がずぼらなのか、少なくとも私はそこまで封水の量を気にしたことがありません。

でも封水が減っていたり、無くなっていたりした場合や汚れが溜まっている場合、ゴキブリが侵入してくる可能性は上がると思われます。ということは、やはり封水を適量張るというのは大切なわけです。

ではどうすれば封水を切らさずに保てるのか?それは簡単で、コップ1杯~2杯の水を排水口へ流せば良いだけです。

普段からよく使用している排水口であれば封水が減っていたり、無くなっている可能性は低いと思います。しかし、しばらく使っていないと水は蒸発してしまうことがあります。ある調査によると、排水口の封水は、排水が無く乾燥する状態であれば、1日で約1mmほど水位が低下するという結果があります。もちろんその時の状況にもよるため、夏場などであればさらに水位が低下する可能性もあります。

そのため、排水トラップのチェックは意外と大切なのです。

封水(排水トラップの水)が減る・無くなる5つの原因

封水の水位低下(破封)が起こる原因は実はいくつかあります。5つほど載せておきます。

①蒸発

前述の通り、封水の水位は乾燥によって、(状況によりますが)1日で約1mmほど低下します。しばらく使っていない排水口など、長期間排水の無い状態だと、さらに蒸発して封水が無くなってしまうことがあります。

以前にも記事に書きましたが、香港で起こったSARSの集団感染は封水が蒸発したことが原因だと言われています。
※排水管からウイルスや菌が自宅の中に入ってくる!?その原因と対策について(過去の記事に飛びます)

害虫の侵入確率を下げるためにも、封水の蒸発を防ぐことは大切です。

②自己サイホン作用

これは多量の水を一気に排水しようとすると起こる現象で、排水と一緒に封水に必要な水まで流れてしまうことがあります。

例えば、洗面所などを想像するとわかりやすいです。洗面所に栓をして水をたくさん溜めます。その栓を抜くと、水は一気に排水口へ流れていきます。一度に多量の水が流れ込むと、排水管は満流となり、流れていく排水に引っ張られ、トラップに残留すべき水まで一緒に流れて行ってしまうのです。

他にも、キッチンで洗い物をするために桶などに水を溜め、それを一気に排水口へ流したり、排水管内にゴミや油脂分など、汚れが溜まり、管内が細くなってしまっている場合も空気圧力の変動が大きくなる原因です。

後述する誘導サイホン作用にも言えることですが、こうした圧力変動が大きくおこると、管内が負圧(大気圧より空気圧が低い)となり、こういった現象が起こりやすくなってしまいます。

③誘導サイホン作用(吸込み作用)

上部の階から多量の水が一気に排水されることで、多量の落下水が下へ流れていきます。そうすると、管内の空気圧力が変動して、負圧となります。そうすると、排水管に繋がっている下の階の排水トラップの封水が、上からの落下水に引っ張られて一緒に流れてしまうということが起きます。

例えばマンションなどは、上から下まで縦の排管で繋がっており、各部屋へ横の枝管で繋がっているため、こういった現象が起こることがあります。 (基本的には、設計時にそういったことを考慮して空気を逃がすための通気管を設けたりして対策を行います。)

②の自己サイホン作用、③の誘導サイホン作用、これらは基本的に(便器などの)衛生器具とトラップの組み合わせが悪かったり、配管設備の方法が適切でない場合に生じやすくなる現象です。

④はねだし作用

これは③の誘導サイホン作用とは反対に、横の枝管が正圧(大気圧より空気圧が高い)となったときに起きる現象です。

これも高層住宅などの下の階で起きやすく、上層から多量の水が縦管に流れてくると、排管内の許容の排水量を超えた場合、縦管の中の空気が圧縮され横の枝管を通り、封水を破って室内に逆流してくることがあります。例えば縦管が汚れなどの詰まりによって排水管の経口が細くなっている場合などに起こります。

⑤毛細現象

排水管のトラップ部分などに繊維物質が引っかかったりしていると、この現象は起こります。

特に浴室などは、皮脂や石鹸カスなどがトラップ部分に固まってしまい、そこに髪の毛が引っかかったりすることで、その髪の毛をつたって、封水が流れてしまい破封に繋がることがあります。

例えば、水に布を浸すと徐々に濡れていなかった部分にまで水がつたってきます。他にも、筆を墨汁やインクに漬けると、筆の毛をつたって墨汁が吸い上がってきます。こういった現象が排管の中で起こってしまいます。

こういった現象により封水の水位が減ったり無くなったりすることがあります。

さて、封水切れの原因はなんとなくわかりました。では、封水を切らさないために対策はどうすればいいのか?ということです。

封水の減少・破封は、害虫の侵入確率を高めたり、臭いの逆流の原因になったりと良いことがありません。そのため、対策についても記載しておこうと思います。と言っても、普段からやっている人には当たり前のことかもしれません。

これだけはやっておきたい、自分でできる排水トラップの管理3選

①排水管を清潔にする

排水管の汚れは、いろいろ不都合を起こします。害虫の住処になりやすいですし、サイホン作用による破封や管内の圧力変動を引き起こす原因にもなります。

排水をする際には、油や皮脂汚れなど様々なものが一緒に流れます。特に動物性油脂等、冷えると固まってしまうものは、排水管内で蓄積されやすいです。

排水管を清潔にすることは、排水トラップの封水を守ることにもつながりますし、害虫の対策にもつながるのです。

②トラップに破損等はないか

トラップ(排水口)の定期的な清掃は大切ですが、その際にトラップの破損が無いかを確認します。排水口は、主に目皿、かご、わんからなっていると思います。

わんがずれていないか、割れなどはないかなどをチェックします。万が一、壊れている場合には、これも害虫の侵入、悪臭の原因になるため、修理や交換が必要になります。

③封水が切れていないか

トラップを清掃した時、同時に封水をチェックするとさらに良いです。わんを外してみると、排水口の中を覗けると思います。そこに水が張ってあるかを確認します。

汚れがある場合には、ブラシや洗浄剤で掃除を行います。特に、油や髪の毛等、固まったり、封水切れの原因になるものには注意が必要です。

まとめ

  • ゴキブリは排管内から侵入できる可能性がある。
  • 確率を減らすためにも、排水口(トラップ)の封水は大切。
  • 封水を切らさないために、定期的な確認を行う。
  • 排水管内を清潔に保つ。

こうしてまとめをみると当たり前のことのように思いますが、なかなか時間が無かったりして疎かにしていまいます。今回は、自戒も込めて書いてみました。