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排水管からウイルスや菌が自宅の中に入ってくる?その原因と対策について

興味深い一文を目にしました。

「2003年のSARSのとき、香港のマンションで、1棟まるごと300人が感染しました。どうやって感染したのでしょうか。排水管です。」
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テレビでも放送されてたらしいです。SARSもコロナウイルスの一種です。「今回の新型コロナ件も、こういった経路で感染する可能性があるのではないか?」とのことです。なぜ、こんなことが起きるのでしょうか?日本でも起こりうる可能性はあるのか調べてみました。

原因は水蒸気の逆流?

SARSのときは、

上層階のウイルスに感染した人の排便や排水が排水管を通って下へ流れる際、他の階の排水管も汚染され、それが逆流して各部屋へ広がってしまった。その結果、集団感染に繋がった。

と発表されています。排水管の逆流の原因にはいくつかあります。

1.排水管の封水が乾燥してしまい起こる逆流

排水管には封水という水が溜まっています。

なぜ、このような水が溜まっているのかと言うと、害虫の侵入や悪臭の逆流を防ぐためです。しかし、この封水が以下のような理由で乾燥してしまう場合があります。

  • 長期間家を空けたりして、排水が無くて乾燥してしまう
  • 家の中が負圧になることによって、封水を吸い上げてしまう

他にも風水の乾燥の原因はいくつかあります。水がなくなってしまうことによって空気が逆流してきた場合、ウイルスや菌が排水管から入ってきてしまうということが起こりえます。

2.家の中が負圧になることによる逆流

先程も出てきましたが、負圧とは、

屋外に比べて室内の気圧が低いこと

です。圧力は高いところから低いところへと移動し、同じ気圧になろうとする性質があります。そのため、外に空気が出され続けると、別のところから空気を取り込んで均衡を保とうとするため、排水口からの逆流が起こってしまうということです。

給気口を閉めて密閉した状態を作り、換気扇などを回して空気を排気した場合などに負圧になります。また、第三種換気方式という換気方法を採用している住宅なども、よく起こるようです。

厳密には違いますが、紙パックのジュースをストローで吸った場合、紙パックがへこむときのようなイメージです。よく、家のドアや窓が固くて空きにくいということがありますが、それも負圧による現象です。

3.排水管の破損

排水管の破損により水漏れが発生した場合、仮に水がウイルスに汚染されていたとしたら、水漏れと共にウイルスや菌が広がってしまう可能性が十分考えられます。

4.ライトコートからの飛沫

上記と少し関係する近い例ですが、SARSの集団感染が起こった建物では、トイレの排水管の圧を調節する空気管が破損していたそうです。

汚染された排便、排水がその空気管へ飛び散り、破損部から漏れ、空気管が通っていた建物の吹き抜け(ライトコート)から煙突効果などでウイルスが上昇し、上層階へと蔓延してしまった可能性があるとのことです。

5.害虫の侵入

SARSコロナウイルスが蔓延した際、ネズミやゴキブリなどの害虫からもウイルスが検出されたそうです。こういった害虫の侵入によって、物理的にウイルスが運ばれてきてしまう可能性もあります。

この例は、集団感染に発展する可能性は少ないかもしれませんが、個人としては気を付けないといけないことの1つだと思います。

そして、害虫の侵入経路になり得る1つが排水管です。

「封水(排水トラップの水)があれば、害虫は排水管から侵入できないのか?」とい感じますが、ゴキブリの種類によっては、水の中も足場が良ければ歩いてこれるとの事例もあるようです。つまり、排水管が汚れていたりすれば、封水があっても侵入してくる可能性があるということです。

私個人も、実際に排水管内の汚れをエサに管内に住み着くゴキブリは、何度か業者の方などから見せてもらったことがあります。

ゴキブリの侵入経路は排水管だけではありませんが、排水管にも注意が必要と考えられます。


可能性を考えれば他にもたくさんありますが、排水管から感染に繋がる可能性が高いのは上記5つのようなことが主です。

排水管からの感染を防ぐ方法は?

では、排水管からの感染を防ぐために、私たちはどのようなことに気を付けてなければならないのでしょうか。

1.負圧を防ぐ

負圧は封水切れを起こしたり、空気を逆流させたりする原因になり得るため、対策が必要です。

ただし、住宅の換気システムを替えるというのは現実的ではないため、換気扇を回したり、換気設備を使用する際には、窓を開けたりなど、空気を十分に取り込なんだ状態で行いましょう。

2.封水切れを防ぐ(排水トラップの水切れを防ぐ)

封水が切れると排水の逆流や害虫の侵入などの可能性が高くなるため、封水切れを防ぐ必要があります。ただ、排水管の中の水が無くなっているかどうかは、外から見るとなかなかわかりません。

そのため、

  • 小まめに水を流す
  • 臭いが気になったら水を流す

などで、定期的に対応する必要があります。

3.排水管の劣化・破損に注意する

排水管が破損していて、水漏れなどを起こしているようであれば、感染の拡大以前に漏水が広がるため、早急に修繕が必要です。また、破損する前に、劣化や破損を未然に防ぐことも必要です。

経年による劣化はある程度は仕方ないかもしれませんが、日常的に強い薬剤の使用を減らす、やめることで劣化の抑制につながります。また、排水管の詰まりも劣化や破損につながるため注意が必要です。

4.害虫の侵入を防止する

害虫の侵入は排水管だけの問題ではないですが、排水管内のヌメリ汚れなどはゴキブリなど害虫のエサや住み家になりやすいため、それを掃除するだけでも、害虫が寄りづらい環境を作ることができます。


何か情報があれば追記等させていただきます。新型コロナウイルスに関しては、まだまだ未知の部分も多く、現段階で出ている情報に対して過剰に反応し過ぎるのはよくありません。

個々で感染を未然に防ぐために、まずは自分ができることから対策していきましょう。何か少しでもお役に立てれば幸いです。

最後に。

ここ最近、「新型コロナウイルスが水道水に混ざっている」「排水管が新型コロナウイルスで汚染されている」などの根拠のない勧誘や電話があるようです。今回書いた事例は、日本の環境ではなかなか起こりにくいことですし、普段からこまめに掃除をしたり、最低限のケアをしておけば防げるものがほとんどです。

ましてや、水道水(上水管)は塩素消毒されており、汚染されている可能性は排水管以上に低いです。冷静に判断し、悪質なセールスには注意してください。

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