浄化槽の保守点検とは?しないとどうなる?内容や頻度など詳しく紹介
浄化槽の保守点検は適切な維持管理を行うために必要な検査で、浄化槽管理者(使用者)の義務として浄化槽法によって定められています。
定期的に保守点検を受けた先には法定検査も行わなければいけません。
この記事では、浄化槽の維持管理のための『保守点検』や、機能維持を確認するための法定点検ともいえる『法定検査』について、内容や頻度、誰が点検・検査するのかなどを紹介します。
浄化槽を安心・安全に使っていくためのさまざまな点検を紹介するため、参考にしてください。
目次
浄化槽の保守点検とは?
浄化槽の保守点検とは、浄化槽が問題なく稼働しているかどうかを確認する定期点検で、頻度や点検項目が浄化槽法によって定められています。
そして、点検だけではなく不具合の修理や清掃・薬品の補充など、浄化槽が稼働する上で重要な維持管理の役割も果たしています。
ここでは浄化槽の保守点検について詳しく紹介します。
浄化槽の保守点検の内容
浄化槽の保守点検の内容は、浄化槽の複雑な構造と同様、点検項目も多様です。
以下に紹介するように細かく分けて点検し、不具合を見つけた場合は修理や掃除・薬剤補充などの対応も行います。
状況によっては清掃の頻度を上げるよう提案されたり、修理や交換を促されたり、使用方法について指導を受けることもあります。
浄化槽周辺の状況
外観検査といい、外から分かる状況を点検します。
- 臭気や異音
- 油分や洗剤の流入量などの状況
- マンホール蓋のひび割れや周辺の破損
- コンクリートスラブの陥没・盛り上がりなどの異変
(※コンクリートスラブ:マンホールまわりのコンクリート部分)
付帯設備の点検
浄化槽本体以外の付帯設備を点検します。
- マンホールの蓋が密閉できている
- 浄化槽上の異物の堆積
- 木の根の侵入
- 勾配不良・接合部の漏水
- ブロアや放流ポンプなどの稼働状況
一次処理槽の点検
一次処理槽と呼ばれる、酸素が要らない嫌気性微生物が棲む、固形物などの雑物を分離して溜め込む槽を点検します。
分離した汚れが沈殿して汚泥になり、発酵し浮上してスカムになります。また、ガスや臭気、害虫なども発生します。
- スカム・堆積汚泥の状況
- 異物などの流入状況
- 水位・ろ材の状況
- 害虫の発生状況
二次処理槽の点検
二次処理槽と呼ばれる、一次処理槽では浄化しきれなかった微細な物質などを、酸素が必要な好気性微生物の力で生物処理する槽を点検します。
- 微生物のためのばっ気攪拌(酸素供給)の状況
- 洗剤による泡の程度
- 浄化槽の稼働に支障を来すような生物膜や浮遊汚泥の状況
- 害虫の発生状況
沈殿槽(処理水槽)の点検
処理水を静置して役目を終えた微生物を沈殿させ、その上澄みを次の消毒槽へ送る沈殿槽を点検します。
- スカム・堆積汚泥の状況
- 水位確認
- 害虫の発生状況
- 上澄みの越流の均一性
消毒槽の点検
消毒槽と呼ばれる、処理水を放流する前に消毒する槽を点検します。
- 汚泥の堆積・流入状況
- 処理水の消毒剤(塩素)への接触状況
- 残留塩素の測定(検出を確認)
- 消毒剤の状況や適否・補充
水質検査
水質検査は法定検査でも行いますが、保守点検で行うものとは目的と項目が違います。
保守点検では浄化槽の機能を調整するための目安として行います。
- 透明度(20cm以上)
- 水温(ばっ気槽で測定。13℃以下では微生物が活動低下する)
- 水素イオン濃度(pH5.8~8.6)
- 残留塩素濃度(検出されること)
- Do(溶存酸素)
- 色相(無・淡・濃)
浄化槽の保守点検の頻度
浄化槽の保守点検の頻度は浄化槽法で決められています。
一般家庭で使用されている浄化槽のタイプは以下です。
- 合併処理浄化槽
- 嫌気ろ床接触ばっ気方式
- 処理対象人数が20人以下
このタイプの浄化槽の場合、保守点検の頻度は4ヶ月に1回です。
かかる検査料は大体1~2万円ですが、保守点検の場合は事前に清掃をする必要はありません。
→浄化槽の点検回数は何回?点検と検査の違いは?正しい頻度で浄化槽を大切に
浄化槽は点検業者に依頼する
浄化槽の保守点検は、浄化槽管理士の資格を有する『浄化槽保守点検業者』に依頼します。
浄化槽の保守点検をする場合、専門的な知識や技術が必要です。
メンテナンス的に自分で行うことは可能ですが、法定検査時に必要となる『保守点検記録票』は保守点検業者にしか発行できないため、業者に依頼しましょう。
依頼の際は住所のある自治体や保健所の担当課、または浄化槽協会に連絡をとり、登録業者のなかから選びます。
浄化槽の保守点検は業者選びも大切です。即時対応・丁寧なサービス、そして技術や知識がしっかり身についたスタッフがいる業者を選びましょう。
浄化槽の法定検査とは?
浄化槽の法定検査では、浄化槽の正しい設置や正常な稼働を検査します。
ここでは、浄化槽の法定検査について紹介します。
法定検査で出る結果とは?
浄化槽の法定検査の結果は『適性』『おおむね適性』『不適正』の3段階のうちのいずれかで判定されます。
法定検査ではたくさんのチェック項目を『良』『可』『不可』で評価します。
『適性』は、全てのチェック項目が『良』の場合の判定です。
『おおむね適性』とは、改善が望ましい部分が一部ある、または今後の経過に注意が必要とされる場合の評価です。
『不適正』は、『不可』とされた項目が「放置することで著しい水質の悪化、公衆衛生上の著しい問題が生じる恐れが強いと考えられる項目」の場合です。
『不適正』の場合、保守点検業者などに相談して対応しなければいけません。
『適性』を目指して管理すれば、浄化槽を良好な状態で長く使用できるでしょう。
浄化槽の法定検査の内容
浄化槽の法定検査は、以下の3つの項目について行われます。
外観検査
外観検査のチェック項目は以下の2つに比べると項目が多く、4項目がさらに細分化しています。
『可』とされる項目がいくら多くても、重要とされる項目が『不可』と判定されると検査が通らない場合もあるため注意が必要です。
- 設置状況
- 水の流れ方の状況
- 使用の状況
- 消毒の実施状況
水質検査
水質検査は以下の3つのみから判定されるのではなく、外観検査や書類検査からも原因が明らかである場合に不適正とされます。
- 残留塩素濃度
- 透明度
- BOD(生物化学的酸素要求量)
書類検査
保守点検や清掃などについて、記録の有無や回数などの項目に『不可』がある場合、『不適正』と判断されてしまいます。
そもそも定期的なこれらを行っていない場合、提出する書類が揃えられません。
- 保守点検記録
- 清掃記録
浄化槽の法定検査の費用
一般家庭で使用されている20人以下で使用する浄化槽の場合は以下です。
- 新設の場合、使用前に受ける第7条検査……12,000円
- 2回目以降に受ける第11条検査……約6,000円
浄化槽の法定検査時は、清掃後に浄化槽内に水を張った状態でないと受けられず、清掃は相場で2~5万円ほどかかるため、安くても3万円弱からかかることになります。
浄化槽の清掃も法定検査も年1回と定められているため、予定を併せて組むとよいでしょう。
→浄化槽の清掃料金は?頻度は?業者に頼む?浄化槽清掃の様々な疑問を解決
浄化槽の法定検査は誰がするの?
浄化槽の法定検査の依頼は、都道府県知事の指定検査機関へ申込みが必要です。
申込みについては、お知らせのはがき等が届く場合はありますが、基本的には管理者が申し込むことが必要であり、依頼をしないでいると勧告が届きます。
浄化槽法によると、都道府県知事は法定検査を受けていない浄化槽の管理者(使用者)に対して、法定検査を受けるよう指導・助言・勧告及び命令ができ、違反した人は30万円以下の過料に処するとされています。
はがきが届くなどした場合は無視をせず、清掃の準備と検査機関への申し込みを速やかに行いましょう。
浄化槽の保守点検をしないとどうなる?
浄化槽の保守点検を行わない場合、以下のようなリスクがあります。
- 浄化槽の機能が低下する
- 浄化槽が詰まる
- 環境汚染に繋がる
浄化槽を良好な状態で使用するには、メンテナンスが重要です。
浄化槽は、毎日マンホールを開けて内部を見たり、部屋のようにこまめに掃除もできず、故障した場合も使用する人が簡単に故障を直せるような設備ではありません。
万が一の不調などに気付かずに放置すると、故障のリスクが高まり、微生物の活動が低下するのを見逃してしまうでしょう。
そして、機能低下した浄化槽から放流される処理水は環境汚染につながってしまいます。
生活になくてはならない設備であるため、保守点検で浄化槽の機能低下を防ぎ、法定検査をクリアしましょう。
まとめ
浄化槽の保守点検や法定検査は、浄化槽を快適に使用するために必要な点検です。
しっかりメンテナンスを行って、トラブルを防ぎながら浄化槽と長く付き合いたいものです。
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