浄化槽をほったらかしているとどうなる?起こるトラブルや適切な管理方法を紹介
浄化槽は、浄化槽法で定められている定期的な法定検査や清掃が必要な『家庭の汚水処理場』です。
微生物の力を利用して、河川や用水路に流せるまでに汚水をキレイにする浄化槽ですが、手入れを何もせずにほったらかしていると、厄介なトラブルを引き起こします。
この記事は、浄化槽を何の手入れも掃除もせずに放置した場合に起こるトラブルや、使用をしなくなった浄化槽の管理方法などについて紹介します。
特に、なんらかの理由でどうしても浄化槽を使わなくなってどう対処すればいいか悩んでいる人は、参考にしてください。
目次
「浄化槽をほったらかす」とはどのような場合?
「浄化槽をほったらかす」と一言でいっても、勝手な都合や、なんらかのやむを得ない事情など、理由はさまざまです。
浄化槽をほったらかしにする状況を考えてみましょう。
法定検査や清掃を怠る
浄化槽を使用している場合、浄化槽法で以下のメンテナンスを定期的に行わなければならないと決められています。
- 定期清掃(汲み取り)…年1回以上(全ばっ気型浄化槽は半年に1回)
- 保守点検…2~6ヶ月に1回程度
- 法定検査…年に1回、水質や悪臭状況の検査
費用がそれぞれ発生し、点検や検査で不具合が見つかれば補充や修理なども必要になり、清掃の際は立ち合いを求められるなど、若干おっくうに感じられるところはあります。
多少期間が空いても、問題なく使用できているからという理由で、汲み取りや保守点検などを見送ってしまうのは、きちんと頻度を守っている人からみると、一つの『ほったらかし』といえます。
浄化槽の保守点検については、こちらの記事をお読みください。
浄化槽の点検回数は何回?点検と検査の違いは?正しい頻度で浄化槽を大切に
浄化槽の清掃についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
浄化槽の汲み取りをする頻度は?料金は?してないとどうなる?注意点など徹底解説
長期出張
月単位や半年・それ以上などの長期出張の場合は、その間、浄化槽を使用しないことになります。
使用もさることながら、期間によっては電気や水道などを止めていく場合もあるため、浄化槽を維持する機器などの機能が停止することになります。
仕事の都合で仕方ない部分はありますが、使用しないからといって何もしないとトラブルや不具合に繋がる可能性があります。
異動による転勤
数年は家が留守になるであろう転勤は、戻ってくることが確定していたとしても、人が住むために必要なライフラインである電気や水道・ガスなどを止めて空き家のような状態になるのが殆どです。
戻ってきてから再び浄化槽を通常使用することを考えた場合、ほったらかすことで故障や不具合が生じてしまわないためにも、なんらかの処置をする必要がある代表的な例です。
空き家になる
浄化槽を管理する人間や、他に誰も住む予定がない場合、その家は空き家となり、その設備である浄化槽も、その家の処分方法が決まるまで誰も使わないことになります。
住人が亡くなるなどして、すぐには処分できなかったり、売るにしても買い手がすぐに見つからなかったりする場合がそれにあたります。
浄化槽をほったらかしてはいけない理由
前述のような理由で浄化槽を長期にわたり使用しなくなった場合、そのまま放っておくと、浄化槽は悪臭を放つようになりますが、その理由は一つではありません。
浄化槽をほったらかすことで起こる、悪臭につながる理由をみてみます。
ブロワが停止する
ブロワとは、浄化槽のなかに空気を送り込むという大切な役割を担っている装置ですが、電気で稼働しているため、空き家や長期出張などで電気を止めると使用できなくなります。
浄化槽は、家庭排水や汚水を微生物の力できれいにしますが、ブロワが停止することで空気が送り込まれなくなれば、微生物は死滅してしまいます。
すると残っている汚水を処理できず、悪臭の原因となるため、浄化槽を使わなくなって電気を止める場合、その前にまず清掃をする必要があります。
排水不良が起こる
浄化槽は汲み取りをせずに放置していると、性能が落ちて排水不良が起こり、浄化しきれない汚水がそのまま川などに流れてしまう危険性があります。
浄化槽が浄化の過程で汚水を固形物と液体に分離する際、固形物が蓄積します。また、微生物が汚れを分解する過程で、汚泥も発生します。
これらを適度な頻度の清掃で汲み取らなければ、浄化槽はきちんとした役割を果たせません。
浄化しきれていない汚水を川に流してしまっていたとしたら、気付かないうちに環境を破壊していることになります。
放流ポンプが止まる
浄化槽のなかには電動で動く放流ポンプを使用している場合があります。
放流ポンプが停止すると、浄化槽がそのうち満タンになってしまい、やはり臭いの原因になります。
ブロワと同様、長期の留守や空き家にするなどで電気を止める場合は注意が必要です。
機器の故障や消毒薬不足に気付かない
どこかに不具合のある浄化槽をそのまま使用し続けていると、浄化槽の能力をしっかりと発揮できず、結果的には汚水を放流してしまったり、浄化槽内に溜め込んでしまったりすることにつながります。
保守点検をしっかり受けていると、上記のブロワや放流ポンプを初めとする機器の点検やその調整・修理、消毒薬の補充などが済むため、浄化槽の使用を滞りなく行えます。
浄化槽をほったらかしにしない方法
浄化槽を通常使用している場合は、浄化槽法で決められた頻度で保守点検と清掃を行い、法定検査もしっかり受ければ解決できますが、問題は、事情があって家を空けるなど、浄化槽をある程度の期間、使用しない場合です。
長期的に浄化槽の使用をやめる場合の、解決策を紹介します。
1年以内程度の短期間に家を空ける場合
家に戻ってきた際にまた使用することが分かっている場合など、1年以内程度の留守になる場合は、戻ってきてもすぐに使用できるよう、留守の間の保守点検は行っておきましょう。
点検時にはブロワや放流ポンプの機能確認などで電気と水道を使用します。
家を空けている間に誰も使わないということで電気も水道も止めてしまうと、一部点検ができないため、使用可能の状態にしておくことが望ましいです。
1年以上など長期にわたり家を空ける場合
年単位で家に誰も居住しない空き家状態になる場合、保守点検や清掃、法定検査を免除してもらえる『浄化槽使用休止届出書』を提出しましょう。
届出の手順は以下の通りです。
- 汲み取りをして浄化槽の清掃をする
- 浄化槽内に設置されている消毒薬の撤去
- 清掃記録表を発行してもらう
- 上記を添付し届書を市町村へ提出
届書には、消毒薬の撤去日と実施業者の記載が必要であるため、様式を前もってダウンロードしておくなどして準備しておきましょう。
使用を再開する場合は『浄化槽使用再開届』を提出しますが、休止の際と同様保守点検業者による、使用開始前の機器類の点検や、休止前に撤去した消毒薬の補充などを行ってから再開します。
浄化槽の使用をやめる場合
空き家になった家の浄化槽を今後使用しないことが分かっている場合や、建物を取り壊して土地として売る場合などは、以下のような撤去という方法もあります。
浄化槽の撤去後は『浄化槽廃止届書』を都道府県に提出します。
全撤去
全撤去は、浄化槽の本体や槽内の装置などを全て解体し撤去して、地中に何も残っていない状態にする処分方法で、浄化槽の処分方法として最も推奨されています。
例えば土地や建物を売る場合、下水道整備がされているエリアであれば浄化槽つき物件として売買できますが、そうでない場合は最終的に撤去が必要となります。
以下で紹介する埋め戻しや埋め殺しに比べると費用はかかりますが、法的に見ても衛生的に見ても土地の価値としても、全撤去した方が安心です。
土地や建物の売買の際は、浄化槽を放置せずにきちんとした形で処分しましょう。
埋め戻し・埋め殺し
埋め戻しは、浄化槽の清掃後に浄化槽内の装置などを取り除いて、残った本体の底に穴を開けただけで埋めてしまう処理方法です。もっと簡易的な埋め殺しは、清掃後にほとんどそのまま埋めてしまう処分方法です。
どちらも全撤去に比べて費用を抑えることが可能ですが、例えばその土地が売却されれば、引き渡し前に全撤去することになるため、余計にコストがかかります。
結局は一時的な処分でしかなく、そのまま放置すれば後々不法投棄とみなされて罰金が科せられる場合があります。
処分を途中にして放置することは、ほったらかしと変わらないため、処分を先延ばしにせず、土地や建物の売却の際には、浄化槽の処分を早い段階で済ませた方が得策です。
まとめ
さまざまな角度から、浄化槽をほったらかしにしてしまいそうな場合の対処法を紹介してみましたが、いかがでしたか?
浄化槽を使用休止するケースは、本文で紹介した通り、意外と少なくありません。
事情があった場合でも浄化槽をほったらかしにしないためには、そのときの状況にあった判断をする必要があります。
浄化槽とこれからも付き合っていかなければならない場合は、ほったらかしなどにはせず、決められた清掃や点検・検査、メンテナンスを行いましょう。
しっかりメンテナンスをしているにもかかわらず、臭いが気になる場合は、株式会社スリーケーの『浄化槽・汲み取りトイレ消臭剤』が役に立ちます。
雑菌を長時間抗菌し、腐敗作用を抑制、結果的に悪臭の発生を軽減します。また、槽内の有効微生物の働きを助け、本来の浄化機能を高めます。
どのような場合でも、私達の生活のなかで大切な役割を果たしてくれる浄化槽に対して、適切な取り扱いを心がけましょう。
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