浄化槽の水位が高い原因は?低い時も問題?症状や対処法を詳しく紹介
浄化槽の水位が高いときは故障や不具合のサインの場合がありますが、浄化槽を使用している世帯では水位の確認を定期的に行う必要があります。
浄化槽の管理者はあくまでも浄化槽を使用している家庭の世帯主であるため、トラブルになる前に異常に気付けるようにしましょう。
この記事では、浄化槽の水位が高い原因や症状・対処法などを紹介します。
水位が低い場合についても触れるため、参考にしてください。
目次
平常時に正常水位を確認しておく
業者が浄化槽の点検や清掃などの作業をしている際に、正常水位を確認しておけば、水位がどの程度で、どのような状態だと異常なのか気付けます。
浄化槽内部の水位は正常な場合どの槽も均等ですが、確認するためにはマンホールを開ける必要があります。
最近のマンホールの蓋は、2ヶ所のロックをマイナスドライバーなどで回し外せば開けられるため、業者でなくても水位の確認は可能です。
マンホールの蓋がなかなか開かないとき、重くてあけられないときなどは1人で無理をせず、気になる症状がある際は業者に相談しましょう。
水位が高いときの症状
浄化槽内の水位が高くなっている場合は、以下のような症状があります。
もしこれらの症状に気がついたら、蓋を開けて確認してみましょう。
いつもより音が大きい
いつもより水音が大きく聞こえる場合、浄化槽内の水位が上がっている可能性があります。
浄化槽は、内部で働くバクテリアに向けて、ブロア(送風機)で常に空気を送り込んで攪拌(かくはん)を行っているため、ブクブクという水音が常時発生しています。
普段のブロアの音をよく聞いておくと、早めに気付いて適切な対応ができるでしょう。
排水管の流れが悪い
浄化槽の水位が上がっている可能性があるとき、家庭から排水を行うと「ゴボゴボ」と流れが悪いと感じるような音がします。
トイレやキッチン、洗面所など全ての排水口について、流れが悪いかどうかを確認してみましょう。
どこか1ヶ所の流れが悪い場合はその排水のみが浄化槽の手前で問題が起きている可能性があります。
しかし、すべての排水口で流れが悪くなっている場合は、浄化槽の水位が上昇して、トラブルが起こっている可能性があります。
浄化槽の水位が高い原因と対処法
浄化槽の水位が高くなる症状は浄化槽の構造にも関係し、修理や清掃については専門的な知識をもつ浄化槽管理士や浄化槽保守点検業者への依頼が必要です。
浄化槽の水位が高い場合に考えられる原因と、対処法を紹介します。
汚泥の処理がしきれていない
浄化槽内の水位が高くなるのは、処理しきれない汚泥が溜まったり詰まったりすることが原因の場合があるため、清掃をする必要があります。
浄化槽は大きく分けて以下の4種類の部屋があり、汚水を順番に通過させて浄化します。
- 嫌気ろ床槽……固形物をろ材でろ過する。2室かそれ以上で構成される
- 接触ばっ気槽……空気を送り込んで、好気性微生物が棲む接触材に循環させる
- 沈殿槽……なお残る固形物を沈殿させ、上澄みを消毒槽へ送る
- 消毒槽……処理水を塩素消毒して放流する
→浄化槽の排水の仕組みとは?使用上の義務や上手な使い方を詳しく解説
浄化槽内では生活排水から固形物を取り除き、汚水中の有機物を分解して浄化しますが、その過程で出てくる汚泥や夾雑物(不純物など)が溜まります。
嫌気ろ床槽は1つの蓋を開けると2室両方の水位が確認できます。また、沈殿槽と消毒槽はそれぞれ1つずつ蓋があり、それぞれの水位の差を見ることでどこに問題があるのかが分かります。
浄化槽内の水位が高くなるのは、処理能力を上回る汚泥が溜まり過ぎたり、嫌気ろ床槽から接触ばっ気槽へ処理水を送る移流管やろ材に詰まったりするためです。
そのような場合は、業者に依頼して清掃や点検をしてもらう必要があります。
→浄化槽の汲み取りをする頻度は?料金は?してないとどうなる?注意点など徹底解説
流量調整の異常
浄化槽の機能である流量調整に異常が発生すると、水位が高くなることがあります。
浄化槽の流量調整とは、時間帯などで多くなる排水の浄化を平均的に調整し、放流する処理水の水質を安定させるものです。
設備機能の異常であり修理や点検が必要となるため、業者への依頼が必要です。
放流ポンプの異常
放流ポンプ(排水ポンプ)に不具合が生じている場合も、水位が高くなる原因です。
浄化槽の放流は、一般的に台所や浴室などの排水先から浄化を終えた処理水を放流するまでの経路に、緩やかな傾斜をつける自然放流です。
建物の間取りや敷地の関係で十分な傾斜が取れない場合、放流ポンプを使用して処理水を汲み上げて外へ排水します。
すべての浄化槽に設置されているものではなく、処理水や雨水を地下に溜めている地下室や地下駐車場などがある建物に必要です。
溜まった処理水で水位が上がると、浮き上がってスイッチがはいる仕組みのものなどがあり、排水が行われないような不具合が生じると浄化槽の水位が上がってしまいます。
放流ポンプの寿命は浄化槽より短いため、修理の他に買い替えでの対応になる場合があります。
放流ポンプの修理・交換の際は、水抜き後周辺機器のチェックや設定などが必要であり、一般の人にはむずかしい作業になるため、業者に相談して対処してもらいましょう。
雨水などでの逆流
大雨などにより、河川や水路などの水位が高くなるせいで浄化槽に逆流する場合も、浄化槽内の水位が高くなることがあります。
放流先の水位が下がるまで待っていることで通常通りに回復しますが、頻繁に起こると浄化槽の働きに影響が出てしまいます。
頻繁に逆流が起こると浄化槽の処理能力を超えてしまい、処理されないままの汚水が放流されてしまう・家庭内の排水が十分にできないなどのトラブルが発生する可能性も否定できません。
放流する配管に逆流防止弁を設置するなどの対策ができるため、浄化槽に問題が起こる前に業者に相談することをおすすめします。
浄化槽の水位が低いとき
浄化槽にトラブルが生じているときに、水位が高くなるだけでなく低くなる場合もあります。
浄化槽の水位が低い場合の原因と対処法を紹介します。
欠損などで汚水が漏れている
浄化槽の不具合によって漏水が起こっていると、水位が低くなる場合があります。
漏水には以下のような原因があります。
- 地盤沈下や隆起など、地盤の異常
- 地下水や土砂による浄化槽底部の掘削
- 地中の水圧や土圧の変化
- 地震などの影響による振動や衝撃
- 大型車両の通行による振動
漏水が発見された場合、対処方法は以下の3通りです。
- 破損・亀裂などの箇所を修理
- 単独浄化槽の場合、合併浄化槽への入れ替えか下水道への切り換え
- 合併浄化槽の交換
新しい単独浄化槽の設置は平成13年より原則として禁止されており、合併浄化槽への入れ替えが推進されているため、自治体の補助金や交付金が利用できます。
→浄化槽にかかる費用は補助金が出る?用途や申請について詳しく解説
一方、合併浄化槽の交換や維持管理の場合は利用できる補助があるかどうかは各自治体によって違いがあるため、事前に確認が必要です。
浄化槽内部の仕切り板の破損
浄化槽内にはいくつかの部屋がありますが、それを仕切る板に破損や欠損があると部屋がつながってしまい、水位が下がることがあります。
このような場合の修理では、一旦水の使用を止め浄化槽内を空にする必要があります。
一般の人には対応できないため業者に依頼して、清掃を行いながら原因を探し修理してもらうことになります。
業者に依頼する場合の注意点
水位異常を発見したとき、異常な水音に気付いたときは業者に相談する場合が多いことは紹介しましたが、実際に依頼となった場合の注意点があります。
ほかのトラブルの場合にも共通するため、参考にしてください。
浄化槽やブロアのうえに物をおかない
維持管理業者が作業に支障をきたさないよう、浄化槽の蓋やブロアのうえに物を置いたりせず、作業しやすいスペースを確保しておきましょう。
また、マンホールは普段閉めておくのが鉄則ですが、万が一開けっ放しだったり、急な破損があったりすると危険です。
子どもが浄化槽上で遊んだりすることを防ぐためにも、場所が分かりやすいよう雑草の処理をしっかりしておくと、作業もしやすく安心です。
急なトラブルの際にすぐ点検・清掃できるようにしておきましょう。
依頼するときは『浄化槽保守点検業者』へ
浄化槽の維持管理は、自治体に登録のある保守点検を行う浄化槽保守点検業者へ相談します。
登録業者の一覧は自治体の市町村や保健所の浄化槽担当課・浄化槽協会で確認できます。
登録制度のない自治体の場合に依頼する場合は浄化槽管理士です。
保守点検をきちんと受けていれば急なトラブルは防げる可能性が高まるため、定期的に点検して大事を防ぎましょう。
まとめ
浄化槽の水位の変化は破損が原因の場合が多いため、高い・低いに関係なく注意が必要です。
保守点検を定期的に受けていれば前もって解決できる場合があるため、すすんで業者に点検を依頼しましょう。
また、浄化槽の水位以外の異常に、悪臭がするなどのトラブルもよく聞きますが、微生物の繁殖不足などの機能低下が原因の場合があります。
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